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個性派逝く 田村正和を筆跡診断

田村正和 筆跡診断

 

4月3日に心不全で亡くなっていたことがわかった

俳優の田村正和さん。

 

私としては、

94年に放送された三谷幸喜さん脚本の刑事ドラマ

「警部補・古畑任三郎」における、

独特の口調で犯人を推理する個性的な刑事役が、

一番ハマリましたね 笑

 

これほど強烈な印象を残した俳優は稀なだけに

77歳の死は早すぎる感もありますが、

最期までニヒルでかっこいい田村正和でいたかったから

ヨボヨボになる前に姿を消したのだろうかと、

私のような愚輩は勘ぐってしまいます。

 

そんな稀代の名優 田村正和さんを偲んで、

最初で最後の筆跡診断を試みさせていただきました。

 

田村正和 唯一の直筆

田村正和 唯一の直筆

 

 

田村正和さんの筆跡はサイン以外にほぼ存在せず、

おそらくこれが唯一の直筆であろうと思われます。

 

パッと見、筆跡全体に柔和な印象があって読みやすく、

人柄の良さと知性の高さを感じました。

 

 

 

まず目に付いたのは、

名前の田村の「田」の字の左上が大きく開き、

下もきちんと閉じていないところ(上開下開型)。

 

思いやりがありさばけていて社交的。

自分と異なる意見も認められる寛容さがあります。

緻密なイメージがある田村さんですが、

意外に大ざっぱで大胆かつルーズな面も見受けられます。

お金は「貯める」より「使う」ほう、

人に奢ったりする気前のいい性格だったようです。

 

 

 

 

ひらがなの「お」や「あ」、「本」や「機」の、

本来上に突き出る縦線がほとんど出ていない「頭部突出控え目型」。

 

撮影現場の空気を読んで周りに合わせる、

謙虚で自己主張が控えめなお人柄だったのでしょう。

 

 

 

 

ひらがなの「ぜ」やカタカナの「ゼ」、

田村の「村」、「麦」「十」などで、

横線が左に長く伸びた書き方をされています(横線左方長突出型)。

 

頭の回転の速さやあり余る才能のほとばしりを示す筆跡特徴が

田村さんの文字に表れていたことに違和感は感じられません。

 

 

 

2つある「村」、機会の「機」の木へんをみるといずれも

第4画左ばらいが第2画縦線を切った書き方をしています(刃物運型)。

 

田村さんの演技における台詞や動きの節々に

「キレ」のような鋭さをしばしば感じたのは、

この刃物運型特徴の成せる業だったのでしょう。

 

 

 

2文字ある「麦」の字、

3本ある横線の等間隔度の高さが見て取れます。

等間隔型」は能力優秀で完成度の高さとともに、

理性的でロジカルな思考性を示します。

田村さんの人を惹きつける演技力は、

その場の思いつきやアドリブではなく、

緻密に計算され尽くしたものだったと感じさせます。

 

 

 

気になる箇所もあります。

後ろから2行目と最後の行、「違」「機」に

本来あるべき空間がつぶれている「空間つぶれ型」が出ています。

 

空間つぶれは心身のつぶれのサインである一方、

それを肥やしに新しい表現を生み出す芸術家タイプの特徴。

 

ダンディーな印象を崩さないために

宴席でも食事には手をつけずお酒もうつむくように飲んでいたそうです。

そうした日常生活における徹底したストイックさが

文字のつぶれに表れていたのかもしれません。

 

 

 

筆跡診断は占いとは異なりますが、

未来に向かって末広がりの繁栄を暗示させる

弘法型」という筆跡特徴があります。

田村さんの「間」の字にみられる弘法型は、

晩年まで第一線で活躍しつづけた彼の俳優人生そのものを

表しているような気がしてなりません。

 

 

稀代の名優に改めて、合掌。


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